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妊娠と皮膚

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妊娠時にみられる皮膚の変化

妊娠時にひふトラブルが起こった方へ

妊娠によって母体のホルモンバランスの変化が生ずることにより、皮膚にも様々な影響を及ぼします。

妊娠時にみられる生理的変化

妊娠による色素沈着
乳首や乳輪、わき、外陰部など生理的にメラニン色素が多い部分の色素沈着が強くなります。 そばかすが濃くなることもあります。分娩後改善していきます。

妊娠性肝斑
妊娠中期頃から両頬や目の周り、おでこ、口周りなどに左右対称性にぼんやりとしたしみができてきます。 通常は出産後に消退していきますが、残ることもあります。

妊娠線
妊娠6~7ヶ月後に腹部、太もも、おしりや乳房などにみられます。妊娠に伴う体のサイズの増大により、 皮膚が引っ張られ、弾性線維が断裂し、少しへこんだような線状の部分が皮膚にできます。

その他のひふの変化
妊娠初期に鼻下、首、背中や四肢の多毛が生じたり、下腿部分の浮腫や静脈瘤、毛細血管の拡張がみられることがあります。

妊娠時に特異的にみられるひふの変化

妊娠性皮膚そう痒症
妊娠後期に多く、皮膚に発疹はなくかゆみのみを伴う状態です。かゆみによるかききずがみられることが多いです。

妊娠性痒疹
妊娠3~4ヶ月頃、2回目以降の妊娠時に腕や下肢、体にかゆみのあるぶつぶつができます。 初回の妊娠時に見られる例もあります。出産後に治ります。

PUPPP(pruritic urticarial papules and plaques of pregnancy)
初産婦の妊娠後期に発症します。強いかゆみのある赤い発疹やぶつぶつが腹部や臀部四肢などにみられます。 分娩後は消退します 。

妊娠性疱疹
稀な疾患で、自己免疫機序(自分の免疫システムが誤って自分を攻撃する状態)により発症すると考えられています。
お腹や体から始まり、全身に水ぶくれが拡大していきます。治療はプレドニゾロンなどの全身投与を行います。

妊娠腫瘍
歯肉に容易に出血しやすい鮮紅色の腫瘍(毛細血管拡張性肉芽腫)ができることがあります。

出産後の脱毛
分娩後2~3カ月頃から生じることが多い、休止期脱毛症の1種です。

出産後脱毛の症状とは
妊娠中はホルモンの変化により、毛の成長期が延長しているのですが、
出産後血中のホルモン濃度が妊娠前に戻ることにより、
毛が休止期に一斉に入っていくため、まとまった脱毛がおこると考えられています

出産後脱毛の治療
分娩からの期間を確認し、他の休止期脱毛の原因となる疾患を除外します。

出産後脱毛は特に治療しなくても出産後6カ月ほどでほとんどの例で自然に軽快しますので経過観察をします。